リソークリニック

事業背景

病院開業の実例:リソークリニック
主に関節外科・人口関節手術の分野で実績をあげている整形外科専門医さまより、関節の再生医療を目的としたクリニックを作りたいとの話がありました。患者自身の細胞を培養して戻すことで、疾患の改善を図る先進医療を普及させたいという院長先生の想いがありました。全国、場合によっては世界に診療圏を広げることを想定して、遠方からでも来やすい場所として老舗ホテル内の1室を借りて開業することが決まりました。自費診療がメインとなるクリニックなので、客筋の良さも見込むことも考慮されました。

課題

  • 診療の特性上、ゆったりとお話(問診)できる環境を整えたい。
  • 老舗ホテル内の厳しい施工条件(時間帯や音の問題など)内で行わなければならない。

提案

  • 病院開業の実例:リソークリニック
    インテリアについては、ホテル内の落ち着きのある静謐な雰囲気を、院内にそのまま引き継ぐのが良いとの考えから、寛げるラウンジ空間を目指しました。家具の選定はもちろんですが、重厚感のあるカーペットやカーテンを用いることで、限られた予算内でグレード感を出すことを意識しています。
  • 病院開業の実例:リソークリニック
    予定工期が潤沢にあるとはいえない状況の中、クリニック区画のすぐ側に客室があり、特に音の出る工事が行える時間帯に厳しい制限がかけられました。そこで、切削音が出る通常の間仕切り壁の分量を極力減らし、代わりにカーテンで間仕切ることで騒音の低減を図るなど、プランニングより対策を講じました。
  • 病院開業の実例:リソークリニック
    「責任」を示すクリニックの頭文字、Responsibilityの「R」と、Clinicの「C」を組み合わせたシンプルなシンボルマーク。
    青と赤は、院長先生の母校である、慶應義塾の旗の色を表しています。
効果
院長先生は、当時一般的ではない治療を、あまり目立つとはいえない場所で行っていることを、どのようにPRするのかを心配されていました。
開業当初こそ穏やかなスタートだったものの、直ぐに予約が一杯になり、心配は杞憂となりました。今では遠方からの患者さまや、海外からの患者さまも多く来院されています。
今後ますますの発展が期待されるクリニックです。
磐田振一郎 先生
Risoクリニック
磐田振一郎 先生
  • 写真
    この度は開院おめでとうございます。
    お忙しい毎日を過ごされていると思いますが、現在の心境をお聞かせください。
    スタッフをまとめて、雰囲気の良い職場づくりなどを考える、売り上げやコスト感覚に敏感になる、といったマネージメントについての意識が高くなったと思います。そして、その難しさも痛感してます。
  • 今回、関節の再生医療を行うクリニックとして開業をされましたが、 開業に至るきっかけは何だったのでしょうか?
    手術を専門的に行っている中で、患者様は「できれば手術を避けたい」という気持ちが強いことを常々感じていました。一般の非手術治療では不十分、でも手術を避けたい、というニーズに応えたい、そして再生医療という新しい分野を切り拓くために開業しました。
  • 最近になって耳にするようになった再生医療という新しい治療法ですが、具体的にはどのような医療なのでしょうか?
    当院で行っている再生医療は、関節の表面にクッションの役割をしている軟骨を再生することを目指す治療です。
    これまでは、加齢やダメージなどですりへった軟骨を回復させる治療はありませんでしたので、構造的に修復を図ることができる画期的な治療といえます。手技的には、ご自分のひざの脂肪をわずかに1g程度採取して、そこに存在する軟骨のもとになる幹細胞とよばれる細胞をとりだして、培養する事で増やし、傷んだ関節内に戻すというもので、すべて日帰りで行うことができ、ご自分の組織を使う治療なので、安全性も高い治療です。各大学でもさかんに研究が行われていて、良いデータも発表されはじめており、今後の発展が期待されている方法です。
  • 写真
    なるほど、今現在も発展をしている治療法なんですね。それでは前例もほとんどなく、不安の多い準備期間だったことと思いますが、何が一番心配でしたか?
    お金やスタッフ、開業場所などについてサポートしてくれる優秀な方々がいらっしゃったので、アドバイスをうけながらあまり心配することもありませんでした。
    心配事は2つ。
    ひとつは、医療は広告規制が厳しいので、この特殊な治療を特殊な場所でおこなっている事実をどのようにPRするのか?
    もう一つは、まだほとんどおこなわれていない新しい治療が予想通り効果を発揮するのかどうか?
    上記2点については、開業後も、勉強の毎日です。
  • 新しい分野を切り開いているからこその悩みですね。我々も可能な限り、お手伝いさせていただきます。
    では、開業場所に都心の格式高いホテルを選ばれたのは、譲れない思いがあったからなのでしょうか?
    また、場所以外のも心掛けたことや重要視したことがあればお聞かせください。
    治療方法が特殊だったために、想定していた患者さんはゆくゆくは全国、場合によっては世界に広げることを想定して、遠方からでも来やすい場所、ということで帝国ホテルが候補にあがりました。ホテル内、自由診療、ということで、ゆったりとお話できる環境を整えたいと考え、いわゆるクリニックっぽさを排除して、くつろげるラウンジ的要素を入れたいと考えていました。
  • 予想外に大変だった、苦労したという点はありましたか?
    契約についての一番の苦労は金銭面での条件交渉でした。 これまで全く経験のないテナントとしての契約でしたが、工事にホテル側指定業者があることに驚きました。さらにその設定された金額が想定よりも高額であったことも。(笑) Kudoカンパニーさんの経験に基づいたお力添えや戦略的交渉など、交渉の生の現場も経験できて苦労しましたが良い経験になりました。
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    我々も、とても苦労した思い出です。それ以外にも開業までの期間中、様々な出来事があったと思いますが、特に忘れられない出来事があれば教えてください。
    開業前に想定していた障壁として、
    ・厚労省からの再生医療の認可
    ・細胞培養施設の確保
    ・資金
    ・開業場所の確保
    がありました。
    上記の壁を越えた時に、それぞれに達成感はありましたが、最後まで難航したのが、細胞培養加工施設の確保でした。再生医療を行う上で不可欠な細胞の培養を行ってくれる施設がぎりぎりまでみつからず、内心焦りました。大学時代所属していた野球部の後輩が運営する施設が受け入れてくれたので、事なきを得ましたが最もプレッシャーがかかった案件でした。
  • その中でこうして無事に開業されましたが、完成したクリニックを初めてご覧になった時の感想を教えてください。
    正直なところ、パースなどでいろいろ説明されていましたが、現実的には想像がつかず、初めて見た時のデザイン性の高さやリクエストを超えるご配慮を感じ、施工会社、デザイナーその他関係者の方々に尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。みなさん、プロフェッショナルだな~と。
  • ありがとうございます!さて今後ですが、先生が目指す理想の医療・クリニックについて聞かせてください。
    開業の動機となった、既存の治療ではできない患者ニーズにこたえる治療をしよう!という目的を達成していきたいと思っています。まだ、これからの可能性が期待できる治療なので、良い面、悪い面、データの蓄積など新しいジャンルの開拓にまい進していきます。一方で、他の職種である、鍼灸、柔道制服、サプリなどの方々との連携も模索していきたいと考えております。そして、普段の診療でも、中長期の戦略を考える上でも、“患者目線”は、ぼくの永遠のコンセプトです。
  • では最後に、開業を志しているドクターにメッセージをお願いします。
    開業に必須なのは、“志”と“勢い”だと思います。やりたいことを実現するためであれば、思い切って一歩踏み出す事で道が拓けると思います!!
  • 開業早々お忙しい中、インタビューのご協力ありがとうございました!
短い取材でしたが、磐田先生の真摯さ、ひたむきさが伝わってきたでしょうか。
磐田先生が院長をつとめる「リソークリニック」のホームページもぜひご覧ください。 http://riso-clinic.com/
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